スキップしてメイン コンテンツに移動

【2018年度】秋期第3回 TA感想リレー(8)

こんにちは。ここ数日は暖かかったりめっきり冷え込んだり、服装に気を遣いますね。
ブログの更新が遅くなりすみません。11月13日のふぇみ・ゼミでは、講師に在日朝鮮人3世の朴金優綺(ぱくきむ・うぎ)さんをお招きし、「だれもがいきいきと生きられる社会のために―在日朝鮮人女性と複合差別―」をテーマに講義をしていただきました。
以下、TAの感想リレーです。今回の担当はAです。

―――

在日朝鮮人女性は、在日朝鮮人であるということと女性であるということの2点において差別にあっています。このように複数の属性が結びついた差別を「複合差別」と言います。例えば、在日朝鮮人への差別でヘイトスピーチやヘイトクライムが大きな問題となっていますが、中でもチマチョゴリを切られたり性暴力を容認するような暴言が吐かれたりするなど、女性だから経験する差別があるのです。民族差別的なヘイトスピーチで名誉を傷つけられたとして在日朝鮮人の女性が起こした裁判では、人種差別と女性差別の複合差別だということが2017年に認められています。
朴金優綺さんがスタッフを勤めていらっしゃる「在日朝鮮人人権協会」内で設けられた「性差別撤廃部会」は、民族や性、階級などにもとづくあらゆる差別と暴力を認識し、行動することによって繋がり、「だれもがいきいきと生きられる社会」の実現を目指しています。まなぶ、うごく、つながるという三本柱で活動し、具体的な活動としては、例えば在日朝鮮人セクシュアル・マイノリティの交流会などを開催し、日常の互いの悩みや葛藤を分かち合う場を設け、マイノリティ同士の連帯を目指しています。「だれいき」のホームページ(http://dareiki.org)にはその思いが以下のように書かれています。

民族や性がからまってなされている社会的な抑圧のありかをともに探るために、連帯を呼びかけます。あらゆる朝鮮人が、あらゆる女性が、真の解放の果実を分け合うために、互いの痛みへの想像力と、不可解なことに歩み寄る意思を求めます。
そのために私たちも、在日朝鮮人の女性のみならず、性的少数者、貧困者、ダブルや「混血」者、障害者、精神疾患を含む病者、その他あらゆる疎外された人びとの声を組み入れる努力を惜しみません。

 今回の講義で一番に思い浮かんだのは、中学高校と同じ学校に通ってきた私の友人のことでした。ここから、少しだけ個人的なことを書いてみます。
以前から時々プライベートな話をする仲ではありましたが、私が彼女のエスニシティについて触れたことはほとんどありませんでした。それがこの夏に一緒に旅行をして、初めて、彼女が在日韓国人として経てきた事柄の一端を知ることになったのです。
彼女だけ日本国籍ではないため身分証明証の提示を求められていることに、物凄く違和感を覚えながらもゲストハウスに泊まった私たちは、多くの人が友人との旅行でそうするように、学業や恋愛、その他いろいろな楽しくて親密な話題について夜な夜な話をしました。文章を書くのが上手い彼女は、校内の文集に度々掲載されていました。そのことについて彼女は、「うん、でも私はこの名前(韓国系の名字)だから、あまり政治的なことは書かない方が良いって母には言われてる」と言いました。私は、彼女が文字に残る自分の文章について、そのような危惧を抱いているとは、言われるまで全く考えてもみなかったのです。将来何をしたいかという話で、官僚になる可能性を検討すれば、「でも私は日本国籍を持っていないからそもそも無理ではあるんだけど」とさらっと述べます。昨今の政治について鬱憤を晴らしあっていると、「私は選挙権がないから投票できないのが残念ではあるけど」と。私はちょうど選挙権が18歳に引き下げられた時にその年齢だった者です。高校では、誕生日を迎え選挙権のある人は是非選挙に行くように、と促されていました。そんな中、年齢に関わらずそもそも選挙権を持たない友人が同じ教室にいるとは、想像が至らなかったのです。これは、私にとって特に強く印象に残った会話であり出来事でした。
朴金優綺さんが活動の原点として発した「この苦しみのありかを探りたい、取り除きたい」という言葉の重みに、私はなかなかこの感想レポートを書き始められないでいました。ある人の抱える痛みや苦しみに想像力を働かせるというのは、言わずもがな非常に難しいことです。しかし一方で、想像によって、もしくは経てきた同じ経験によって他者と繋がることが、どんなに喜ばしく、癒しになり、希望に満ちているかを私は知っています。「あらゆる疎外された人びとの声を組み入れる努力を惜しみません」と、そう言えるようになりたいと思いました。

―――

朴金優綺(ぱくきむ・うぎ) 担当日  11/13 tue 19:00
在日本朝鮮人人権協会事務局員/朝鮮大学校講師/歌手

在日朝鮮人3世の人権活動家。朝鮮学校差別問題や日本軍性奴隷問題について国連人権機関で働きかけを行ってきた。『だれもがいきいきと生きられる社会のために 性差別撤廃部会連続講座の記録&「在日同胞のジェンダー意識に関するアンケート」結果報告書』(在日本朝鮮人人権協会 性差別撤廃部会、2015年)の責任編集者。

このブログの人気の投稿

【ふぇみ・ゼミ特別公開講座「3つの場所のフェミニズム」vol.0】 北京LGBTセンター事務局長辛穎さん「1995世界女性会議の後 中国LGBT運動は野火のように拡がった」のお知らせ

ふぇみ・ゼミ企画 特別連続講座「3つの場所のフェミニズム」vol.0 北京LGBTセンター事務局長・辛穎(Xin Ying)さん講演会 講演タイトル「1995世界女性会議後、中国LGBT運動は野火のように広がった」 2019年4月30日(火・休) 13:30開場 14:00~17:00 東京大学本郷キャンパス経済学研究科棟3階2番教室 資料代 1000円(ふぇみ・ゼミ受講生は無料) 事前申し込みは不要です。 お問い合わせ先  femizemi2017@gmail.com 司会 梁・永山聡子 コメンテーター 飯野由里子、高柳聡子 通訳・コーディネーター 熱田敬子 主催 ジェンダーと多様性をつなぐフェミニズム・ゼミナール~ふぇみ・ゼミ~ 共催 東京大学大学院教育学研究科 バリアフリー教育開発研究センター ※講演は中国語です(日中通訳付き)。通訳部分を含む日本語の発言について、PC文字通訳がつきます。託児はありませんがお子様連れも歓迎します。その他配慮が必要な方はお問い合わせください。 講演テーマ:「1995世界女性会議後、中国LGBT運動は野火のように広がった」 1995年北京の懐柔で、第4回世界女性会議が開かれ、189カ国と地区の代表、国連各機関と専門団体、また政府間組織とNGOの体表など、1.7万人が参加した。  95年の世界女性会議の後、NGOの存在が中国市民に認識され始める。そして、「ジェンダー主流化」の概念もまた、中国に入ってきた。  その頃中国では、同性愛は未だに非犯罪化されておらず(1)、病気とされていた(2)。第4回世界女性会議上で、全世界から300人以上のレズビアンが懐柔に集まり、NGOフォーラムの中で「ララ(拉拉)・テント」が承認された(訳注:「ララ(拉拉)」はレズビアン・バイセクシュアル・トランス女性など、女性のセクシュアルマイノリティの総称)。これは中国のララ・コミュニティと、国際的なララ・コミュニティの初めてのつながりでもあった。世界女性会議の後、北京のララ・コミュニティは組織化をはじめ、バーや個人の住宅で小規模な集まりを開催した。こうして、規模は小さいながら、徐々に一つのコミュニティが形成されていく。1997年、中国で初めての同性愛者コミュニティのホットライン99575が成立、同年中国で初めての...

2回連続講座のお知らせ「国家の性暴力を問うことー中国・黄土の村と日本から」

  中国山西省太原の郊外・黄土高原の乾いた大地に点在する村々に、かつて日本軍による性暴力被害が吹き荒れた。被害にあった女性たちは、その後長い間、被害にあったその場所で、誰もがその被害を知る中で生きてきた。日本軍による性暴力は地域コミュニティを破壊し、女性たちを孤立させた。その爪痕は今でも現地に残っている。日本軍の占領地域では、広範で常態化した戦時性暴力が、慰安所と相互に補完し増幅しあうシステムを形成していた。 1990年代、山西省では被害者が名乗り出、日本政府を相手取って合計3件の訴訟を起こした。「村で胸をはって生きていきたい」「胸の内を吐き出したい」と、闘った女性たちは、日本と中国で多くの人に深い影響を与えた。原告の被害女性が亡くなった今でも、名誉回復を求める闘いは続いている。 裁判では事実認定がついたにもかかわらず、謝罪と賠償の要求は退けられた。国家に性暴力への謝罪を求めることは、当事者にとって、日本社会、中国社会にとってどんな意味を持ったのだろう。現在の私たちが、なぜ多発する性暴力が正しく裁かれないのか、聞く耳を持たない社会に対し被害者が声をあげることの意味は何なのかと思うなら、その問題の根は、きっとここにある。 本講座ではジャーナリストとして被害女性の撮影を続けた池田恵理子さん、研究者として被害証言を聞き、裏付け調査を行ってきた石田米子さんを招いてお話を聞く。 チケット代 一般(1回のみ)    1500円 一般(2回連続券)   2800円 学生/2021年ふぇみ・ゼミ寄付者(1回のみ) 1000円 学生/2021年ふぇみ・ゼミ寄付者通し券  1800円 2021年ふぇみ・ゼミ生(1回のみ)      500円 ※ふぇみ・ゼミ生で2回連続出席する方は、ふぇみ・ゼミパスポート( ふぇみ・ゼミU30のページ で販売中)をご利用ください 開催方法  zoomを用いたオンライン開催(後から配信あり) ※各回の申し込みは、開始1時間前までとさせていただきます。  開始1時間前までに購入をしていただいた方にzoomアドレス・IDをお送りいたします。  大変申し訳ありませんが、それ以降の申し込みの方後日動画配信にて視聴いただく形になり、  zoomアドレス・IDを送信できかねます。  また、それ以前のzoomアドレスの送信はセキュリティの観点からしておりません。...

トランス排除に反対するフェミニストの声明

トランス排除に反対するフェミニストの声明   2020 年 8 月 18 日、 NPO 法人ウィメンズ・アクション・ネットワーク(以下、 WAN )のウェブサイトにトランス排除的なエッセイが掲載されたことに関連し、ふぇみ・ゼミ生を中心とした自主グループ「ふぇみ・ゼミ × トランスライツ勉強会(以下「勉強会」)から WAN に宛てて、 10 項目にわたる 公開質問状 が出されました。なお、「勉強会」はふぇみ・ゼミとは独立した自主グループですが、ふぇみ・ゼミは若者の活動を育てることを活動目的の一つとしており、今回も「勉強会」の活動を支援しています。  回答期限である 8 月 31 日、「 WAN 編集担当」より「 公開質問状への回答 」と題する文章が「勉強会」宛てに送付されました。しかしそれは、質問状中の大半の質問に答えていないばかりか、情報発信側に問われている責任をまったく理解していないと思われる、大変不誠実な内容でした。さらに、公開質問状が NPO 法人 WAN の「組織としての」回答を求めているにもかかわらず、現在に至るまで、理事会からは何らの応答もなく、差別や人の尊厳・人権といった課題に対し、 WAN が組織として対応できないことを露呈した形になっています。  近年、日本でも、フェイクニュースやヘイトスピーチの拡散に SNS 等のインターネットプラットフォームが大きな役割を果たしていることが、 社会問題として認識されています。 情報発信側には、正確で信頼のできるコンテンツを提供するとともに、特定の人々(とりわけ、社会的に脆弱な位置に置かれている人々)の存在・尊厳・人権を危険に晒すようなコンテンツを掲載しないこと(万が一、掲載された場合は時を移さず削除すること)が責務として強く求められる時代になっています。そうした中での今回の WAN の判断・対応は、 WAN がこの時代のインターネットプラットフォームを運営する主体としてふさわしくないという事実を明らかにしています。現在、多くの人たちが、自身が執筆した記事を WAN サイトから引き上げる活動(ボイコット)に参加しているのは、このためでもあります。私たちふぇみ・ゼミ運営委員は、 WAN のプラットフォームとしてのあり方を問い、トランス排除的なフェミニズムに反対するゼミ生の活動を強く支持します。同時に、今回素早く問題...

ふぇみ・ゼミイベントカレンダー