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【2019年度ふぇみ・ゼミ】前期第1回 TA感想リレー(14)


こんにちは!更新が遅くなってしまい申し訳ありません。TAのASです。
雨が降ることも多いですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は雨の日はもっぱら長靴を履いて、少しでも快適に過ごそうとしています。

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5月22日に「被差別部落女性はなにを問題にしてきたのか」というテーマで、熊本理抄さんによる春期初回ゼミが開かれました。

被差別部落の歴史の基本的な知識と認識にはじまり、被差別部落女性が「二重三重の差別と圧迫」からの解放を自らの力によって獲得していく闘いを学びました。

部落女性は、言っている言葉が難しくてわからない、生活が全然違う、など非部落女性に疎外感を抱く一方で、部落運動同盟「婦人部」と部落解放運動の組織の中では女性問題として周縁化されました。しかし前者よりも後者の部落男性との方がより距離が近いということで、部落解放運動に関わることに主体性形成の可能性を見出します。
部落女性の運動によって教科書無償や生活保護費の男女差撤廃、就学前教育としての保育所の位置付けなどが達成されました。

その後、女性差別撤廃条約や世界女性会議を通して「複合差別」の概念に出会い、自らの実践に自信や勇気を得、さらに自らの実態を可視化し分析する調査も行います。
調査において、差別が差別者と被差別者間で起きるばかりでなく、差別された人が自分で自分のことを否定し、卑下し、劣っていると思わされていく側面も持つという実態が紹介されました。

最後に熊本さんから、連帯は(いかにしたら)可能か、という問いが投げられました。
質疑応答ではあわせて、「葛藤や対立を抱え込みながら生きていく」次のフェミニズムの可能性に言及なさっていました。
お話を聞いて、連帯における困難や対立、そして希望について考えさせられました。

初回からとても充実したゼミ、終わった後に受講者の方がSNSで感想をシェアしてくださっていたのも嬉しく、刺激になります!

それでは、次回のゼミは堀江有里さん「天皇制とジェンダー/セクシュアリティ」です。お楽しみに!

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熊本理抄(くまもと りさ)
福岡県生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。
大学を卒業して働き始めた反差別国際運動(IMADR)で、「複合差別」と名付けたネットワークを立ち上げ、研究会を始めました。以来、被差別部落女性の聞き取りを続けています。ブラック・フェミニズムやダリット・フェミニズムに学びながら、部落フェミニズムをいかに発信するか、模索しています。

テーマ
「被差別部落女性はなにを問題にしてきたのか」
被差別部落女性の存在はこれまで、「同じ被差別部落出身者」あるいは「同じ女性」とひとくくりにされ、部落解放運動と女性解放運動のどちらからも、不可視化の対象とされました。被差別部落女性は、1920年代の婦人水平社時代以来、「二重三重の差別と圧迫」からの解放を自らの力によって獲得していく闘いを続けています。上げ続けてきた声がなぜ届かないのか、一緒に考えたいと思います。

推薦図書
反差別国際運動日本委員会(2001)『マイノリティ女性が世界を変える!―マイノリティ女性に対する複合差別』解放出版社

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