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【団体賛同受付中】すべての幼児教育・保育施設に無償化制度適用を求めるフェミニストの声明

 2019年10月1日、ジェンダー平等社会を実現するために欠かせない、画期的な社会制度:幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する子どもたちの利用料を無償化する施策が施行されました。しかし、実際の運用に対しては、多くの問題があります。特に、全ての子どもたちのための無償化制度とうたいながら、除外対象を明確に定め、排除を生んでいることがあげられます。これは社会制度としての欠点であり、利用する個人に多大なる失望感や不安感を与えています。事実、除外された朝鮮幼稚園の保護者からは、憤りと不安の声が寄せられています。(詳細は、参考記事を参照)

このような状況の中、わたしたち、ジェンダー平等な社会の実現に尽力しているジェンダー・フェミニズム研究者、運動家、実践家たちが声をあげないわけにはいきません。

この声明をお読みになり、ご賛同いただける団体は、お申し出くださればと思います。賛同団体としてこちらのページに掲載します。多くのジェンダー・フェミニズム団体の賛同をお待ちしております。

 なお、現在こちらの呼びかけと並行して、ジェンダー平等、フェミニズム団体に賛同をお願いする個別の働きかけもしております。
賛同の可否に関わらず、お願いした団体の名前についてはブログに記載予定です。

賛同希望団体の方はこちらにメールをください
メールアドレス:femizemi2017@gmail.com
件名:すべての幼児教育・保育施設に無償化制度適用を求めるフェミニストの声明

<参考記事>
・静岡新聞「幼保無償化、浜松で訴え ブラジル学校協、宣言採択」(2019年9月30日朝刊)
東京新聞「幼保無償化、外国人施設は対象外 財源は外国人も負担するのに… 「不公平」の声」(2019年9月30日付 東京新聞朝刊)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201909/CK2019093002000110.html(電子版)
・朝鮮新報【特集】〈幼保無償化〉聞こえますか、私たちの声
http://chosonsinbo.com/jp/2019/10/hj1910302/(2019.10.30 (20:22))
・京都新聞 京都朝鮮学園幼稚班が要望書 幼保無償化対象外に「権利ないことに憤り」https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/40328 (2019年10月16日)




――――――――――――

すべての幼児教育・保育施設に無償化制度適用を求めるフェミニストの声明


2019年10月1日から幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する子どもたちの利用料を無償化する施策が開始されました。日本政府は施行の理由として (1) 少子化の原因の一つとなっている高額な教育費の軽減、(2) すべての子どもたちへの質の高い教育を受ける権利の保障等をあげています。

しかし、「すべての子どもたち」に権利を保障すると日本政府はいうものの、現行の無償化制度からは幼児教育施設全体の0.2%にあたる外国人幼保施設88施設 (そのうち40施設が朝鮮学校幼稚園)が除外されています。政府は除外の理由について、外国人幼保施設では幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えないからだとしています。しかし、今回の幼保無償化は、認可外保育施設やベビーシッターも対象となっています。それにもかかわらず、長年の保育・教育実績がある各種学校の附属幼稚園を一律に除外するのは整合性に欠けるばかりか、差別的な意図さえ読み取れます。また、外国人幼保施設ばかりではなく、他にも様々に制度適用外になる事例が指摘されています。

これは明らかに、「子どもの権利条約」(1990年に国際条約として発効。日本は1994年4月22日に批准。1994年5月22日に発効)の精神に反するものであり、幼児教育の公平性を著しく損なうとともに、日本社会の多様な幼児教育・保育に分断をもたらし、経済的に排除される人々をうみだします。 そして、幼児期にこうした制度的な排除を経験することは、特定の子どもたちに「自分たちはこの社会において正当なメンバーシップを認められていないのだ」という感覚をもたらし、被差別意識や自己肯定感の低下などを招きかねず、彼ら/女らの未来に障壁を設けることになりはしないでしょうか。

日本政府は、直ちに除外措置を取り消し、すべての幼保施設に無償化を適用し、平等な環境を構築すべきです。

ジェンダー・フェミニズム運動は、長い間、ジェンダー平等な社会の実現には、幼児教育・保育の充実が不可欠だと主張してきました。実際、女性労働と幼児教育・保育をテーマとした研究が数多くなされてきましたし、労働運動をはじめとする社会運動も、働く場所(企業)と預ける場所(行政等)の双方にそれぞれ幼児教育・保育が必要だと訴え、これを実現してきました。

したがって、今回の無償化制度は、ジェンダー平等な社会をよりいっそう進めていくために大変重要なものです。しかし、だからこそ、そのような施策が、利用する施設の性質によって、子どもたちを分断することは、ジェンダー、フェミニズムの観点から許されることではありません。

以上の理由から、わたしたちは、ジェンダー、フェミニズムの研究、運動に携わる者として、すべての幼児教育・保育施設に無償化制度が適用されるよう、強く求めます。

呼びかけ

ふぇみ・ゼミージェンダーと多様性をつなぐフェミニズム自主ゼミナール

賛同団体

一般社団法人さいたまキャリア教育センター
NPO法人アジア女性資料センター
北京JAC
デートDVせたがやネットワーク
日本YWCA
JAWW(日本女性監視機構)


議員賛同
大野城市議会議員 松崎ゆり子
世田谷区議会議員 桜井順子

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