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【2019年度ふぇみ・ゼミ】後期第3回 TA感想リレー(18)


こんにちは、ふぇみ・ゼミTAのKです。連日のニュースで大変気が重いですが(それで済ませていいのかというのは今回は置いておいて)、皆様もどうぞ体調には気をつけてくださいね。

ご報告が遅くなってしまいましたが、昨年12月11日に、金真美さんを講師にお招きして、「朝鮮の激動の時代を駆け抜けた女性たちと出会う」をテーマにゼミを行いました。

具体的には、「朝鮮植民地を生きた女性たちはどう描かれたのか」「朝鮮民主主義人民共和国の女性政策とその表象」について見ていきました。

前者に関して、小説や歌などから社会が見えてきて、興味深かったです。個人的には、姜香蘭(1900〜?)さんについてのお話が印象的でした。男性と同じように生きようとする意味で髪を剃り、男性のスーツを着た初めての朝鮮女性だそうです。髪を剃った女学生は学校に通えないとして通っていた培花学校を退学させられ、正則講習所に通うことになったとのことですが、かっこいいです…!

後者に関して、まず、社会主義理論における女性解放について。「女性が社会的生産労働に動員されることで、経済的に独立し、同時に男性支配と抑圧からも開放される。」「伝統的に女性の義務であった家事労働を社会化することによって女性を家事奴隷状態から開放することができる。」とのことです。実際、女性を労働力として活用しようとした朝鮮民主主義人民共和国では、「平等憲法・制度の整備→家事・養育の社会化・母性保護の強化→政治社会化」と進んでいったようです。

1946年2月8日の北朝鮮臨時人民委員会の樹立後、法規制定作業が推進されたそうですが、その基本方向は、政治・経済・社会の各分野に残る植民地的・封建的搾取関係を除去することに置かれたといいます。そしてこの際、女性の権利などに関する様々な制度が作られたそうです。既に同年に、女性に男性と同じ労働権と労働報酬を保障したり、産前産後有給休暇制度などの女性保護の制度を規定したりと、そのはやさに日本とは大違いだなあと思いました。

朝鮮民主主義人民共和国というと、どうしても言葉を選ばずに言うと「ヤバい」国というイメージを持ってしまいがちですが、今回のゼミを通して、その一面しか見てこなかったのだなと思わされました。

今日、経済制裁などもなされていますが、それで不利益を被るのは市民です。植民地支配で日本が朝鮮民主主義人民共和国に与えた影響についてきちんと認識しないまま、この現状を黙認するべきではないとも感じさせられました。

本当に初めて知ることばかりでした。大変貴重な機会をありがとうございました。

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講師:金真美さん
テーマ:「朝鮮の激動の時代を駆け抜けた女性たちと出会う」
日時:12月11日(水) 19:00~21:00
概要:日本による朝鮮の侵略と植民地支配の歴史の中で、朝鮮女性はどのような生を紡いできたのか。また分断によって見えてこなかった彼女たたちの生き方を、在日朝鮮人として向き合うことで、南北統一に向かう運動の主体としての役割を考えてみたい。
推薦図書:呉 香淑(2008)『朝鮮近代史を駆けぬけた女性たち32人 』(教科書に書かれなかった戦争) 梨の木舎

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