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2019年度

2019年度 ふぇみ・ゼミ

※2019年度のゼミレポートはこちらから


[2019年度・春期の講師プロフィール]

★熊本理抄(くまもと りさ) 担当日 5/22 wed 19:00

福岡県生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。大学を卒業して働き始めた反差別国際運動(IMADR)で、「複合差別」と名付けたネットワークを立ち上げ、研究会を始めました。以来、被差別部落女性の聞き取りを続けています。ブラック・フェミニズムやダリット・フェミニズムに学びながら、部落フェミニズムをいかに発信するか、模索しています。

講義テーマ:被差別部落女性はなにを問題にしてきたのか

 被差別部落女性の存在はこれまで、「同じ被差別部落出身者」あるいは「同じ女性」とひとくくりにされ、部落解放運動と女性解放運動のどちらからも、不可視化の対象とされました。被差別部落女性は、1920年代の婦人水平社時代以来、「二重三重の差別と圧迫」からの解放を自らの力によって獲得していく闘いを続けています。上げ続けてきた声がなぜ届かないのか、一緒に考えたいと思います。

推薦図書
反差別国際運動日本委員会(2001)『マイノリティ女性が世界を変える!―マイノリティ女性に対する複合差別』解放出版社

★堀江有里(ほりえ ゆり) 担当日 6/26 wed 19:00

日本基督教団なか伝道所(横浜寿町)牧師のほか、首都圏の大学や神学校で非常勤講師として、社会学やジェンダー論、宗教研究、実践神学などの授業を担当しています。京都生まれ、神奈川育ち。研究領域は社会学、レズビアン・スタディーズ、クィア神学。「レズビアン」をとりまく社会制度に関心があり、最近は、首都圏の市民運動との出会いがきっかけで、戸籍制度とのかかわりから天皇制の問題についてあれやこれやと考えています。

講義テーマ:天皇制とジェンダー/セクシュアリティ

 日本国憲法は天皇条項からはじまりますが、多くはほとんど意識せずに日常生活を送っているのではないでしょうか。今年は「平成」が終わり、あたらしい時代を迎えます。天皇代替わりをめぐる問題点をジェンダー/セクシュアリティの視点から批判的に考察します。

推薦図書
加納実紀代(2002)『天皇制とジェンダー』インパクト出版会

★米津知子(よねづ ともこ) 担当日 7/10 wed 19:00

1948年生まれ。2歳でポリオにかかり歩行障害に。小学生のころ、自分は女として欠けていると思い込んだ。1969年、学生運動に入って、それは私に内在した性差別と障害者差別だと気がついた。自分自身を助け出したくて、70年代ウーマンリブ運動に。82年から「SOSHIREN女(わたし)のからだから」、その後「優生手術に対する謝罪を求める会」、「DPI女性障害者ネットワーク」に関わる。 

講義テーマ:女で障害者の私が自分を好きになるまで

 「個人的なことは政治的なこと」――リブ運動で知った言葉。社会への働きかけは、私を内側から否定する性差別と障害者差別をほぐすことでもありました。これまで関わってきた運動を振り返りつつお話しします。 

参考文献
齋藤有紀子編著(2002年)「母体保護法とわたしたち」明石書店

★山本めゆ(やまもと めゆ) 担当日 7/28 sun TBA

京都大学にて研究員・非常勤講師、専門はレイシズム研究、移民研究、社会学。初めて二日市保養所跡を訪問した際、そこに据えられているのが水子供養塔と医師の献身を顕彰する「仁の碑」のみで、女性たちの足跡を刻んだものがないことに驚き、その衝撃と疑問がこの研究の出発点になっています。

講義テーマ:性暴力被害者の帰還はいかに危険視されたのか

 1946年春に始まった朝鮮半島や中国大陸からの集団引揚げは、性暴力サヴァイヴァーの帰還でもありました。「異民族」に強姦された/性的な接触を持った女性たちを、日本の引揚港はどのように迎えたのでしょうか。本講義では、引揚援護局の史料等を利用しながら、「彼女たち」の身体がいかに危険視されていたかを検討するとともに、これをフェミニズムの問いとして引き受けなおすことを目指したいと思います。

推薦図書
レギーナ・ミュールホイザー著、姫岡とし子監訳、『戦場の性ーー独ソ戦下のドイツ兵と女性たち』岩波書店(2015)

[2019年度・秋期の講師プロフィール]

★堀口典子(ほりぐち のりこ) 担当日 10/30 wed 19:00

堀口典子さんは、テネシー大学にお勤めの日本文学研究者で、植民地後の状況、ジェンダーなどの視点で、林芙美子などを素材に帝国主義下の、内地、植民地、占領地を移動する日本人女性の表象などの研究をしてこられました。

講義テーマ:「強靭な乳白色の日本の身体:1950~1960年代を中心に」

国策として導入された「牛乳」の表象に最近は関心をお持ちとのことで、ふぇみ・ゼミでは、1950-60年代を中心に、映画「牛乳屋フランキー」などを参照しながら、牛乳の表象とジェンダー・セクシュアリティの問題を冷戦の社会・経済・政治的文脈の中でお話くださるとのことです。

関連書籍
斉藤綾子[編]『映画と身体/性』shinwasha.com/68-2.html

★金美珍(きむ みじん) 担当日  11/27 wed 19:00

非常勤講師。韓国生まれ。政治学、社会学、社会政策、社会運動などを教えている。専門は社会学。非正規雇用、インフォーマルな部門での就労や失業などにより労働市場の中心部から排除されている労働者(「周辺部」労働者)の利害がどのように代表されてきたかを、女性労働運動、さらには市民運動団体も射程に収め、その組織化・連携形成の過程が主な研究テーマ。著書『韓国「周辺部」労働者の利害代表』(晃洋書房、2018)など。

講義テーマ :韓国の女性たちはジェンダー不平等にどう立ち向かうのか?―労働とジェンダーの日韓比較

 日韓はともに、(1)長期雇用、年功的賃金、企業別労働組合といった内部労働市場中心の雇用慣行が定着してきたが、1990年代以降に労働市場の柔軟化が進んだ。(2)非正規労働者の雇用不安定性、正規―非正規間における労働条件の格差が社会問題として浮上し、政策的対応が求められてきた。(3)男性正規職中心の内部労働市場から排除され、その底辺に位置しているのが女性や若年労働者である。本講義では日本と韓国における女性労働者に焦点をあて、日韓の女性たちがなぜジェンダー不平等の状況に置かれており、これに対してそれぞれの国でどのような取り組みが行われているのかについて話す。

推薦図書
Kim, Y.-M & Shirahase, Sawako. (2014). Understanding intra-regional variation in gender inequality in East Asia: Decomposition of cross-national differences in the gender earnings gap. International Sociology. 29. 229-248

★金真美(きむ ちんみ) 担当日  12/11 wed 19:00

三重県出身の在日朝鮮人三世。朝鮮大学校文学歴史学部卒、平壌にある金日成綜合大学 文学大学実習過程を修了。専門は、朝鮮児童文学。朝鮮民主主義人民共和国文学碩士学位取得。現在、朝鮮大学校文学歴史学部助教。

講義テーマ:朝鮮の激動の時代を駆け抜けた女性たちと出会う

 日本による朝鮮の侵略と植民地支配の歴史の中で、朝鮮女性はどのような生を紡いできたのか。また分断によって見えてこなかった彼女たたちの生き方を、在日朝鮮人として向き合うことで、南北統一に向かう運動の主体としての役割を考えてみたい。

推薦図書

呉 香淑(2008)『朝鮮近代史を駆けぬけた女性たち32人 』(教科書に書かれなかった戦争) 梨の木舎

★濱田すみれ(はまだ すみれ) 担当日  1/15 wed 19:00

アジア女性資料センター事務局。1984年東京生まれ。自由の森学園高校卒業後渡米し、Virginia Marti College卒業。アパレル会社勤務などを経て、アジア女性資料センターの事務局に。「女たちの21世紀」編集やジェンダーに関するセミナー・ワークショップの企画運営を担当。2017年から毎年、国際女性デーに「ウィメズマーチ東京」を開催している。

講義テーマ:憲法24条と私たちの暮らし・生き方

 家庭生活における個人の尊厳と両性の平等を謳う憲法24条の存在や意義は十分に知られているとは言えません。しかし、この条文は、女性に対する抑圧や差別を生み出したイエ制度の廃止をもたらしたほか、家族のなかでのジェンダーに基づく差別や暴力を根絶するための重要な根拠条文です。改憲勢力が3分の2以上の議席を占め、改憲に向けた動きが加速化しそうな今、24条が私たちの暮らしや生き方にどのような意味があるのか考えます。

推薦図書
中里見博、能川元一 、打越さく良、立石直子、笹沼弘志、清末愛砂 著(2018)
『右派はなぜ家族に介入したがるのか  憲法24条と9条』大月書店

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