こんにちは。TAのASです。梅に続き桜もほころんできましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
1月15日は、アジア女性資料センターの事務局で『女たちの21世紀』の編集などに携わっていらっしゃる濱田すみれさんを講師に招き、ゼミを開きました。
講義内容は、アジア女性資料センターについて、24条変えさせないキャンペーンについて、ウィメンズマーチ東京についてという3本柱です。
アジア女性資料センター(HP: http://jp.ajwrc.org)は、暴力のない公正で持続可能な社会に向けて、女性たちのエンパワーメントのために、国境を越えて行動するフェミニスト団体です。主な活動内容としては、機関誌を通した情報共有やセミナー・イベントによる教育機会の提供などを行なっています。
前身となる「アジアの女たちの会」は、日本の戦争責任を問い、再びアジアの人々を抑圧する側に立ちたくないという出発点で1997年に発足しました。さらにセンターを1995年に設立し、2002年に亡くなるまで代表を務められたのが松井やよりさんです。
松井さんは新聞記者・活動家として、公害、貧困、買春観光、戦争の傷痕など様々な問題を精力的に取材しました。
定年退職後にはいくつもの国際会議を成功させ、中でも晩年に開催された「女性国際戦犯法廷」(2000年)は国内外で大きな反響を呼びました。
彼女の遺志を受けて早稲田の「女たちの戦争と平和資料館(wam)」が設立されるなど、現在も多くの女性アクティビスト達に勇気と影響を与えています。
酷い女性差別があっただろうことは想像に難くない当時の職場環境で、プロの記者として次々と社会問題に切り込み、退職後も女性たちのために奔走しつづけた松井やよりさんの人生に深い感銘を受けました。
さて、今回の講義テーマは、「憲法24条と私たちの暮らし・生き方」です。講師の濱田さんは「24条変えさせないキャンペーン」の実行委員も務めていらっしゃいます。
そもそも、日本国憲法第24条がどういうものかピンとくるでしょうか。9条ほどには知られていないかもしれません。
この条文は、婚姻などについて記載されており、「個人の尊厳と両性の本質的平等」というキーワードが登場します。24条は、「家制度」を廃止し、生き方による差別・ジェンダーに基づく暴力を根絶するための根拠になっているのです。
しかし、自民党の草案では、国家の基本単位を個人ではなく家族に定めるなどの改正がなされようとしています。
実際に現行憲法と自民党改憲草案を並べて比較してみるとその差は明瞭で、「家族」や「国」が重視され「個人の尊厳と両性の本質的平等」の尊重が薄れているという印象を強く抱きました。
そして、来月3月8日は「国際女性デー」です!
この日には世界中で様々なアクションが実施されますが、東京でも2017年からウィメンズマーチが開催されています。
ジェンダーに基づく差別や暴力をなくしたいという思いを同じくする仲間たちと、出会い、一緒に歩く特別な機会です。
濱田さんによると、「ウィメンズマーチ東京」が大切にしていることは以下の通りです。
* 国際女性デーに世界中で行われるアクションと連帯する
* 世界と連帯しながらも日本独自の社会的背景や直面している問題から目をそらさない
* 参加者は「お客さん」ではない。自分のために歩く
* 暴力的・差別的な発言は禁止
今年も3月8日(日)にマーチが予定されていましたが、残念ながら、コロナウィルスの感染拡大防止のため延期が決定しました。
また次の機会に皆さんで一緒に歩けたらと楽しみにしています!
それでは、時節柄どうぞご自愛の上お過ごしください。
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講師:濱田すみれさん
テーマ:「憲法24条と私たちの暮らし・生き方」
詳細:
濱田すみれ(はまだ すみれ)
アジア女性資料センター事務局。1984年東京生まれ。自由の森学園高校卒業後渡米し、Virginia Marti College卒業。アパレル会社勤務などを経て、アジア女性資料センターの事務局に。「女たちの21世紀」編集やジェンダーに関するセミナー・ワークショップの企画運営を担当。2017年から毎年、国際女性デーに「ウィメンズマーチ東京」を開催している。
テーマ
「憲法24条と私たちの暮らし・生き方」
家庭生活における個人の尊厳と両性の平等を謳う憲法24条の存在や意義は十分に知られているとは言えません。しかし、この条文は、女性に対する抑圧や差別を生み出したイエ制度の廃止をもたらしたほか、家族のなかでのジェンダーに基づく差別や暴力を根絶するための重要な根拠条文です。改憲勢力が3分の2以上の議席を占め、改憲に向けた動きが加速化しそうな今、24条が私たちの暮らしや生き方にどのような意味があるのか考えます。
推薦図書
中里見博、能川元一 、打越さく良、立石直子、笹沼弘志、清末愛砂 著(2018)
『右派はなぜ家族に介入したがるのか 憲法24条と9条』大月書店