こんにちは!スタッフのSMです。
感想リレーの更新が遅くなり、申し訳ありません。
さて先日9月30日、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長、カラカサン~移住女性のためのエンパワメントセンター共同代表である山岸素子さんをお招きし、移住女性の現状と、これまで山岸さんが行ってきた活動、そして活動から見える移住女性の現状とエンパワメントについてお話を伺いました。
山岸さんは約30年にわたって移住者、移住女性、そしてその子供たちへの支援を行ってきました。長い間の活動の中で、日本の移住労働者に対する態度は大きく変わったそうです。
1990年代は移住者や新しい文化を寛容に受け入れていたそうです。しかし現在排外主義が強まる一方だと山岸さんは指摘します。
1980年代、アジア地域で外国人労働者の女性化が進み、日本にも多くのアジア人女性が働きに来るようになります。その主な働き先は性産業でした。
また移住女性が増えた理由の一つに1980年代から1990年代にかけての国際結婚女性の急増があります。特に90年代になると正式な婚約関係がないまま日本人と移住女性が同居を始め、そうした状況のまま子どもが生まれ育つことで、オーバーステイのまま定住する女性が増加しました。
ほかにも日系人労働者の定住や技能実習生の増加により、日本には外国人労働者がますます増加していきますが、外国人労働者の間でも雇用形態、職域、賃金で男女格差が起こったそうです。
国際結婚、労働、技能実習制度…特に技能実習制度は近年話題になっていました。これから日本に渡ってくる外国人がますます増加するなかで(コロナもありどうなるかわかりませんが…)、周縁に追いやられる移住女性やその子どもたちも増えるのではないか、と危惧しています。
現在山岸さんは移住連に主軸をおいて活動をしているそうですが、以前はカラカサン~移住女性のためのエンパワメントセンターでも精力的に活動なさっていました。カラカサンでは移住女性とその子どものためのエンパワメントのための包括的支援を行っています。
山岸さんはカラカサンでの支援活動から、関係機関や民間支援団体、同国人ボランティアとの連携が特に重要だということ強調されていました。また移住女性のエンパワメントにはやはり本人の力が大事であり、支援者はその力を信じて寄り添わなくてはならないとおっしゃっており、支援者中心ではない、当事者中心の活動のあり方というのを考えていかなくてはならないと思いました。
実は私自身、これまで移住女性の状況にはだいぶ疎く、今回のゼミを通して初めて知ったことがたくさんありました。今回の新型コロナウイルスを通して、移住の動きというのはこれまでとは少し違った様相になるのかなとも思いますが、それでも今この日本で貧困やDVなどに苦しんでいる移住女性、差別に苦しむその子どもたちがいます。もっと周りに目を向けていかなくてはならない、解決すべき問題が山積みだと感じます。そして何より支援活動を約30年間にも渡って行っている山岸さんへ尊敬の思いがいっぱいです。
山岸さん、この度は貴重なお話、ありがとうございました!
そして本日(10/16)から2020年度ふぇみ・ゼミ秋期がスタートします!
秋期も素晴らしい講師の方々に講義していただく予定です。
皆様ぜひご参加ください!
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【ゼミ情報】
日時:9月30日 19:00~21:00
講師:山岸素子さん
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長、カラカサン~移住女性のためのエンパワメント
センター共同代表、立教大学非常勤講師を務める。長年にわたり地域での移住女性に関するアドボカシー
政策提言活動などに関わる。
テーマ:移住女性の現状とエンパワメント~カラカサンと移住連女性プロジェクトの活動から
日本では、1980年代から国際結婚や労働者として働く移民女性が急増し、定住するようになった女性
たちも多い。彼女たちはどのような状況に置かれているのか?また彼女たちの権利と尊厳を守る運動
について紹介する。
おすすめの一冊:移住者と連帯する全国ネットワーク編著(2019)『移民社会20の提案』