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2回連続講座のお知らせ「国家の性暴力を問うことー中国・黄土の村と日本から」

 中国山西省太原の郊外・黄土高原の乾いた大地に点在する村々に、かつて日本軍による性暴力被害が吹き荒れた。被害にあった女性たちは、その後長い間、被害にあったその場所で、誰もがその被害を知る中で生きてきた。日本軍による性暴力は地域コミュニティを破壊し、女性たちを孤立させた。その爪痕は今でも現地に残っている。日本軍の占領地域では、広範で常態化した戦時性暴力が、慰安所と相互に補完し増幅しあうシステムを形成していた。


1990年代、山西省では被害者が名乗り出、日本政府を相手取って合計3件の訴訟を起こした。「村で胸をはって生きていきたい」「胸の内を吐き出したい」と、闘った女性たちは、日本と中国で多くの人に深い影響を与えた。原告の被害女性が亡くなった今でも、名誉回復を求める闘いは続いている。

裁判では事実認定がついたにもかかわらず、謝罪と賠償の要求は退けられた。国家に性暴力への謝罪を求めることは、当事者にとって、日本社会、中国社会にとってどんな意味を持ったのだろう。現在の私たちが、なぜ多発する性暴力が正しく裁かれないのか、聞く耳を持たない社会に対し被害者が声をあげることの意味は何なのかと思うなら、その問題の根は、きっとここにある。

本講座ではジャーナリストとして被害女性の撮影を続けた池田恵理子さん、研究者として被害証言を聞き、裏付け調査を行ってきた石田米子さんを招いてお話を聞く。


チケット代
一般(1回のみ)    1500円
一般(2回連続券)   2800円
学生/2021年ふぇみ・ゼミ寄付者(1回のみ) 1000円
学生/2021年ふぇみ・ゼミ寄付者通し券  1800円
2021年ふぇみ・ゼミ生(1回のみ)      500円
※ふぇみ・ゼミ生で2回連続出席する方は、ふぇみ・ゼミパスポート(ふぇみ・ゼミU30のページで販売中)をご利用ください

開催方法 zoomを用いたオンライン開催(後から配信あり)
※各回の申し込みは、開始1時間前までとさせていただきます。
 開始1時間前までに購入をしていただいた方にzoomアドレス・IDをお送りいたします。
 大変申し訳ありませんが、それ以降の申し込みの方後日動画配信にて視聴いただく形になり、
 zoomアドレス・IDを送信できかねます。
 また、それ以前のzoomアドレスの送信はセキュリティの観点からしておりません。
 早く送ってほしいというご要望にはお答えしかねます。ご了承ください。


<各回の内容>
第一回 3/24(水)19:00~21:00

映画・『大娘(ダーニャン)たちの戦争は終わらない』上映
(中国・山西省における日本軍戦時性暴力被害女性の名乗り出と闘いを描いた映画)
池田恵理子監督のトーク
『大娘たちの闘いが世界を変えた ~村を、中国を、日本とアジアの市民を、そして次世代を~』

  • 講師プロフィール
    池田恵理子 元NHKディレクター/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)名誉館長
1950年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、1973年よりNHKディレクターとして「おはようジャーナル」「現代ジャーナル」「ETV特集」などで、女性、人権、戦争、教育、エイズなどの番組を制作。「慰安婦」問題については1991年~96年に8本の番組を放送。
市民としては1997年から映像集団・ビデオ塾を主宰して「慰安婦」被害者や元兵士の証言記録を撮り始め、中国・山西省の性暴力被害者の支援活動や2000年の女性国際戦犯法廷・国際実行委員として開催準備に携わる。
2010年にNHKを定年退職後、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)の館長をつとめ、2018年より名誉館長。
・戦時性暴力関連の共著に、『黄土の村の性暴力~大娘たちの戦争は終わらない』(創土社/2004年)、『ある日本兵の二つの戦場~近藤一の終わらない戦争』(社会評論社/2005)、『日本軍「慰安婦」問題 すべての疑問に答えます。』(合同出版/2013年)、『NHKが危ない!』(あけび書房/2014年)など。
・ビデオ塾制作の記録映像:『アジアの「慰安婦」証言シリーズ』、『沈黙の歴史をやぶって~女性国際戦犯法廷の記録』(2001年)、『大娘たちの戦争は終わらない~中国山西省・黄土の村の性暴力』(2004年)、『大娘たちの闘いは続く~日本軍性暴力パネル展の歩み』(2013年)など。

*映画『大娘たちの戦争は終わらない~中国山西省・黄土の村の性暴力~』について
このビデオは10人の、日中戦争で激戦地となった山西省において日本軍から性暴力を受けた大娘(ダーニャン=おばあさん)たちのそれぞれの被害と、現在までの人生を聞き取った記録です。
変わりゆく中国社会の中で、ダーニャンたちも自らの被害を語り、誇りを取り戻し、彼女たちも大きく変わりました。すでに亡くなった原告もいますが、ダーニャンたちは「まだ大事なことがあるから、死ぬことなんて考えなくていいよ。この古い体で闘おうよ」(万愛花さん)と、励まし合って生きています。その渾身の思いをお聴き下さい。
(撮影・編集 池田恵理子/58分/2004年)



第二回 4/17(土) 15:00〜17:00
被害の聞き取り調査を中心的に担ってきた歴史学者・石田米子さんの講

  • 講演タイトル  
中国の村の日本軍性暴力被害女性たちが突き崩さねばならなかったもの
 ~~彼女たちの裁判の意味を、いまあらためて考える~~

※第2回の石田米子さんの講座は、山西省の訴訟について簡単な基礎知識があることを前提にお話しいただきます。
全くご存じない方は、第一回の講座(後からの録画配信あり)にもご参加いただくか、事前に『黄土の村の性暴力:大娘たちの戦争は終わらない』(石田米子・内田知行編著、2004、創土社)をお読みになるようお願いします。


講師プロフィール
石田米子(Ishida Yoneko)
1935年東京生まれ、歴史研究者。中国近現代史研究と教育を仕事としてきた。
1996年から山西省(盂県を農村を中心に)で日本軍被害女性からの聞き取り、実態と背景の調査
1998年から被害女性を原告とし日本政府を相手とする「山西省性暴力被害者損害訴訟」を支援(~2005)
2007年から中国で日本軍性暴力パネル展を展開する活動
現在は岡山大学名誉教授、山西省における日本軍性暴力の実態を明らかにし、大娘たちと共に歩む会(略称:山西省・明らかにする会)共同代表、日本軍性暴力パネル展実行委員会 共同代表


  • 読んでいただきたい出版物:
『黄土の村の性暴力――大娘たちの戦争は終わらない』(共編著)創土社、2004
山西省・明らかにする会会報『出口气』(1998年創刊、現在No.80まで発行)



お申し込みは以下のリンクからお願いいたします。

https://femizemi-senjiseibouryoku.peatix.com/?fbclid=IwAR21ZpyCzPtGldxC_cEcAxc73O0r3GRcmzSZLiqMTU4s_QP1gG1cX1_ajFI

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